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今月のことば

2012年08月

愛媛の柔道

棟田利幸

 本年5月愛媛県柔道協会長という大役をお引き受けすることになりました。私は5代目の会長であります。
 まず、愛媛県柔道協会の歴代会長について触れてみたいと思います。
 初代会長は梶原勘一先生で、昭和24年から昭和54年までの30年間務められ、戦後柔道が復活してから長期に亘り会長職を全うされました。
 2代目は濱本義明先生で、昭和54年から平成9年までの18年間務められ、全日本実業団大会等を成功させておられます。
 3代目は石黒福雄先生で、平成9年から平成12年までの3年間務められております。
 4代目は五島昌明先生で、平成12年から平成24年までの12年間務められ、大いなる功績を残されました。五島先生の最も顕著な功績は日本屈指の武道館建設を達成されたことです。行政、各競技団体と強いパイプを持たれ、松山道後地区の山の上にあった老朽化著しく手狭な旧愛媛県武道館を、松山平野の真ん中にある松山市運動公園内に移転。「スポーツ立県えひめ」の中核施設として平成15年10月に開館しました。愛媛県武道館は現代の建築技術の粋をこらした木造建築で、最新の機能を備えた最大級の規模を持ち、全国に誇れる施設であります。第2の功績は、愛媛県武道館において「愛媛国際女子柔道大会」を開催し、本県スポーツの振興並びに愛媛県の柔道界を牽引されたことです。さらに、小学生大会、実業団大会など全国規模の大会を開催し、成功を収めるなど、数えきれないほどの業績を残されました。
 このように、愛媛の柔道の発展に貢献された五島先生の意志を後進の私たちが、さらなる本県スポーツ振興のために継承して参りたいと考えております。

 愛媛県柔道協会は近年強化が進んでおり、特に、少年、中学校、高校柔道の強化がなされ、松山西中学校が全国大会等で活躍、新田高校が四国高校総体14連覇、全国でも常時上位の成績を収めるなど頑張っております。また、個人においては、昨年の世界選手権で2連覇の浅見八瑠奈選手、優勝の中矢力選手などが活躍しております。
 今年のロンドンオリンピックは、わが愛媛県から73?級の中矢力選手が出場しています。本号が発刊される頃には結果が出ていると思われますが、本県からオリンピック柔道男子代表の1人に選出されたことは、本県柔道協会の名誉であり、中矢選手に衷心より敬意を表する次第であります。また、現在までの愛媛県柔道協会長以下役員、そして選手全員が一丸となって強化に取り組んできた賜物と感謝申し上げます。今後は、平成29年に行われる愛媛国体に向けて協会役員・選手がさらに一丸となって強化に取り組んでゆく所存です。

 本年4月から中学校武道必修化が始まっています。平成20年に、日本武道協議会が制定した武道の理念は、「武道は武士道の伝統に由来するわが国で体系化された武技の修錬による心技一如の運動文化で、柔道、剣道、弓道、相撲、空手道、合気道、少林寺拳法、なぎなた、銃剣道を修錬して心技体を一体として鍛え、人格を磨き、道徳心を高め、礼節を尊重する態度を養う、国家、社会の平和と繁栄に寄与する人間形成の道である」とされています。義務教育である中学校の武道必修化においては、礼儀正しさや相手への思い遣りを身につけ、日本の伝統と文化を尊重する態度を養うことを目的として、「礼」の実践が指導内容に盛り込まれています。柔道の「精力善用・自他共栄」「礼に始まり礼に終わる」の精神が、中学生に良い方向性を与えるものと信じております。
 愛媛県柔道協会では、柔道授業の充実を図るために、全日本柔道連盟主催の指導者講習会を2月に開催しましたが、これからも安全指導等の講習を行い、中学校指導者への補助的役割ができるよう準備をしております。

 最後になりますが、今後も愛媛県柔道協会は、柔道を通じて将来を担う子どもたちに逞しい身体と何ものにも負けない強靭な精神力を身につけさせ、社会に貢献できる有為な人間を育てられるよう一丸となり進んで行きたいと考えております。

(愛媛県柔道協会会長)

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