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今月のことば

2019年7月

大阪柔道の現状と未来に向けて

福光道太


はじめに
 この4月から大阪府柔道連盟は新体制になり、5期10年に亘り会長を務めて頂いた河?武夫先生からバトンを引き継ぎ、会長に就任いたしました。河?先生の柔道の普及に対する尽きることのない情熱に心から尊敬の念を感じ、その多大なる功績に敬意を表したいと思っております。
 私は今まで副会長を務めておりましたので、会長という任務の重さや仕事の大変さを見てきているだけに、一層身が引き締まる思いであります。
 この巻頭言の寄稿依頼を受けて、歴史と伝統ある大阪柔道の現状そして未来への展望を述べたいと思います。
 まずは自分と柔道との関わりから述べさせて頂きます。

柔道との出会いから今まで
 親の強い勧めと、近所に岩田兵衛先生を筆頭として、その後浪商高校の恩師となる岩田勝先生、岩田正好先生という柔道で名をはせた岩田兄弟がおられたのが縁で、小学生の時に警察の柔道教室の門を叩きました。昔のことなので稽古は厳しいものでしたが、練習後に門脇先生(大阪府警察)に親子丼をごちそうになったこと(本当においしく感じられました)、そして食べながら常に温かい励ましの言葉を頂き、次の稽古の意欲につながったことなどが懐かしく思い出されます。やはり、指導者の役割は重要であり、相手を思い遣る気持ちや正しい道へと導く技術、情熱、愛情が必要であると今も痛感しております。
 その後、浪商高等学校、関西大学で柔道を続けることになりました。当時の関西大学は武専出身の伊藤徳治、伊東三郎両師範のもと、軽量級ながら全日本選手権に4回出場の岩田兵衛、関西大会優勝に貢献された北野一男、岩田家正、世界チャンピオンの丸木英二、松田博文の諸先輩など綺羅星のごとき有名選手を輩出しており、先輩方に追いつけ追い越せと稽古に打ち込んだ大学生活でした。
 大学卒業後は一時、柔道から離れておりましたが、仕事と並行してロータリー活動をしておりました。ご存知のようにロータリーの理念の中に嘉納治五郎師範の理念と一致する健全な青少年の育成活動への貢献があります。様々なイベントや行事を通じて、社会へはばたく前の青少年育成の重要性を感じていた時、同じロータリー会員であった母校関西大学の当時の羽間平安理事長、森本靖一郎専務理事に学生のサポートを依頼されました。そしてサポートに関わるようになると同時に、平成9年から母校柔道部の監督に就任いたしました。
 当時の関大柔道部は、学生運動以来、スポーツ推薦制度が廃止されており、戦績的には低迷していたので、私は大学にスポーツ推薦の復活を働きかけ、制度の導入がなされました。
 私は監督として「古豪復活」を合言葉に学生と共に寮に住み込んで寝食を共にし、指導に情熱を注ぎました。そして平成25年に16年間の監督を退任した後、大阪学生柔道連盟会長、大阪府柔道連盟副会長を経ての会長就任となりました。

大阪柔道の現状
 長きに亘り柔道に携わっていると、決して表に出ることのない柔道を支える先生方のたゆまぬ努力、情熱や思いに触れることが出来ます。
 どこも同じでしょうが、少年柔道を支えているのは町の道場や柔道教室、警察の道場です。柔道を学ぶ入口に当たるこれらの先生方の立派な理念やボランティア精神、選手育成の情熱には頭が下がる思いです。  また講道館大阪の少年柔道教室の指導を見ていると、柔道は個人競技のように思われがちですが団体行動に欠かせない「礼法」、あらゆるスポーツの基本となる「準備運動」「受身」などが存分に活かされており、改めて柔道の奥深さ、素晴らしさに感じ入ります。
 しかし進学先の中学校での柔道部が非常に少なく、生徒たちが柔道をやめてしまい他のスポーツに流れてしまっているという問題点があります。中学校教員としての柔道指導者の不足、外部指導者制度の活用度の低さなどのマンパワー不足を解消し、高校柔道へつないでいく。ここが課題と思われ、中学生の練習の場や機会を増やすことが必須と考えています。
 そして高校では、私立強豪校のみならず公立の先生方の頑張りもあり、昨年度も57校と多数のエントリーでの予選大会が行われています。
 大学は、最近関東の大学の後塵を拝している感は否めませんが、全国優勝、多くの名選手を輩出している三谷浩一郎監督率いる近畿大学、背負投の名手、内村直也先生率いる大阪産業大学、ほか大阪商業大学、大阪経済大学、大阪体育大学そして関西大学等が何とか関東に一矢報いるべく日々強化を図っております。
 また警察柔道は昨年男女同時優勝を果した大阪府警察が、実業団は大阪エースサポート、ミキハウス等の選手が全国で活躍しております。
 このようにして、多くの団体、多くの方々が大阪の柔道に携わり、惜しみないご協力を頂いてこそ、現在における大阪の柔道があることを忘れず、任務に当たりたいと思っております。

大阪で行われる全国的な大会
 大会行事としては、毎年4月開催の全日本カデ体重別選手権大会を、そして昨年に引き続き11月22日から24日にかけてグランドスラム大阪2019が丸善インテックス大阪で開催されます。オール大阪の総力を挙げて大会を成功させ、日本柔道の一助になるべく粉骨砕身の努力をしていく所存です。
                               (大阪府柔道連盟会長)

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