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今月のことば

2022年8月

福島県柔道連盟について

村上幸士


はじめに
 令和4年3月、福島県柔道連盟総会において第10代会長に選任され就任いたしました。微力ながら歴代会長の意志を引き継ぎ、福島県柔道連盟の発展のため全力を尽くしたいと思います。私自身は、地元の中学校で柔道を始め、高校進学後、浅野嘉尚先生と出会い、学級担任、柔道部顧問として3年間お世話になりました。私は先生から薫陶を受けたことで、教師になりたいという夢を持つことができ、日本体育大学へ進学しました。卒業後は福島県に戻り、中学教師として退職まで柔道部顧問を続けました。その間に県柔連審判部長、副理事長、事務局長などを経験し、今年度会長に就きました。
強化部会について
 国体では、少年男子が平成28年から東北総体を勝ち抜き、連続出場しています。女子は平成30年に出場、成年男子は令和元年に出場し、二回戦まで勝ち進んでいます。
 平成29年度は、福島県郡山市においてインターハイが開催され、そこに向けた強化と国体チームの強化が同時に行われました。その中でも、愛媛・福井・茨城と3年連続で出場した鈴木直登選手(東海大学3年)は令和3年全日本ジュニア体重別100kg級において優勝するなど目覚ましい活躍をしており、愛媛に共に出場した瀧澤秀斗選手(東海大学卒、東芝プラント所属)や杉山海選手(東海大学卒、センコー所属)も全日本学生優勝大会で東海大学優勝のメンバーに名を連ねるなど、各種大会で活躍しています。
 その要因は、少年部、中体連での選手育成、他県からの優秀選手の進学などがあり、全国強豪校との錬成会や合同練習によって、競技力の向上が図られたことが背景にあります。また高体連強化部では、男女共に冬季休業を利用して実施される県高体連強化事業での関東近県から強豪校の招聘や他県への遠征で強化が図られています。さらには、コーチやトレーナーなど強化スタッフの献身的なサポートや各所属の指導者の理解と協力を得て、選手たちが練習、大会へ臨みやすい環境が整ってきたことも強化に繋がっています。
 国体が2年連続で中止になり、今年もどうなるか分からない状況ですが、少年男子で活躍した選手が大学生や社会人として成年男子のメンバーで出場し、また低迷気味である女子はふるさと選手を活用すると共に、少年女子の強化に力を注ぎ、3種別が共に国体へ出場し、入賞できるように強化していきたいと思っています。
女性部会
 小学生保護者を対象にした栄養学講習、応急処置の研修会、女性部会員対象に形講習会、親子体験教室、女子強化練習会など、母親と子どもが一緒に勉強したり、稽古したりする活動を継続的に進めています。現在はコロナ禍の影響で思うように会員を集めたり、研修を深めたりすることができていませんが、少しずつ取り組みを増やしたいと思います。
少年部会
 県内全体で強化稽古を実施しています。他県の団体を招いた強化合宿を開催したり、県内の強化選手選考を兼ねた大会を実施したりしています。少年委員会の登録チーム同士がSNSを利用し連絡を取り合っています。コロナ禍においては、役員同士でweb会議を開催し、練習方法の工夫や審判法について研修しています。
今後の課題
 柔道人口の減少、指導者の高年齢化による道場閉鎖や、登録抹消による会員の減少は全国でも同じ状況だと思います。本県柔連としては、国体に向けた強化や女性部会の親子柔道体験教室、少年部会の強化稽古、指導者同士の情報交換などは、会員の増加や指導者のスキルアップに繋がり、会員増加に向け有効な取り組みの1つであると考えています。
 「小学生学年別柔道大会」が廃止になった理由は、一部の指導者が心身の発達途上である子どもに対し、過剰な「勝利至上主義」を強いたことが原因であると聞いています。柔道が武道である以上は、試合に勝つことも重要です。しかし、それよりも礼節を重んじ正しい柔道精神を育むことが、柔道の原点であると思います。全国大会の個人戦が廃止になり、活動している子どもたちが力を発揮する場所がなくなりました。ある役員から「少年たちが興味関心を持ち継続して柔道ができるような取り組みをしてほしい」「子どもが力を試せる場を作ってほしい」と要望され、県独自で大会が開催できないか検討しています。内容的には、体重区分を工夫し開催する方法や個人戦だけの大会を創設するなど、開催に向け計画を立てています。
 また、指導者不足も大きな課題の1つです。新聞記事によると中学校部活動は、「指導者の確保」のため、部活動指導を総合型地域スポーツクラブ、スポ少、プロスポーツと連携する等「地域へ移行」の提言が示され、競技団体との協力が想定されています。連盟としては、柔道を普及するために指導者の育成に力を注ぎ、道場、スポ少の指導者が中学校部活動顧問と一緒に指導できる体制、環境を整えることで、指導者不足解消、競技人口増加に繋がればと願っています。
 少年柔道の個人戦開催や指導者の育成、競技人口の増加など、本県柔連の課題は数多くあります。競技力向上や情熱ある指導者の育成、子どもたちが楽しんで練習できる環境を整え、正しい柔道の普及発展に貢献できるよう尽力して参ります。
ウクライナへの支援について
 本県柔連では、平成23年の東日本大震災の際、ヨーロッパ柔道連盟をはじめ、日本国内からも多大なる義援金をいただきました。大変ありがたく、どこかでそのお返しをしなくてはならないと考えておりましたが、今年度の総会で「ウクライナへの義援金」について協議し、満場一致で義援金を送ることを決定しました。子どもたちへの支援を中心に使っていただきたいという思いから、福島ユニセフ協会からウクライナへ義援金を送りました。一刻も早くこの戦争が終束し、平和な世界で生活できる日が来ることを祈っています。

                    (福島県柔道連盟会長)

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