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今月のことば

2006年10月

歴代、諸先輩方の努力
 偉業を継承、更なる発展を

沓澤 行雄

 本年四月、山形県柔道連盟六代目会長に就任しました沓澤と申します。
 はじめに、去る一月十日に五代目会長の藤巻忠昭先生がご逝去されました。ここに、謹んで先生のご冥福をお祈り申し上げます。
 第二次大戦の敗北により、多くの優秀な人材を失い、大きな痛手をうけた日本は無条件降伏という極めて悲惨な結果になってしまいました。連合軍の占領政策により、国内における武道の全面禁止、学校における柔道は中止され、翌二十一年には日本武徳会も解散になってしまいました。

 さて、山形県柔道連盟が結成されて昨年で六十周年を迎え五月に式典を行いました。かえりみるに、戦後の混迷のなかで、柔道を愛する者同士が町道場に集まり修行に励んでいたなかで、毎夜のように連盟の組織づくりの検討が重ねられました。そしてついに昭和二十一年末に当時の県知事、村山道雄氏を初代会長として山形県柔道連盟が結成されたのです。しかしながら、あたかも占領下の時勢、米軍の情報局から呼び出しがあり、会長以下、高段者の代表が出頭を命ぜられ、柔道の理念等について種々尋問を受けましたが、会長以下代表者の答弁で了解を得る事が出来ました。その後、駐屯地内で柔道の形や乱取など、有志の協力による演武披露など再三に及ぶに至りました。それが刺激になってか、米軍兵士から柔道の修行の希望があり、交流の輪を広げることが出来るようになりました。
 やがて昭和二十五年、学校柔道が復活し、クラブ活動もようやく活気をとりもどし、各種大会の開催など組織活動のもとに、広く県内に普及するようになりました。

 全国規模の大会開催は全国高校大会(インターハイ)二回、全国教員大会、そして十年にわたり準備を進めた「べにばな国体」では総合優勝と、大成功を収めました。東北総体では三十二回開催中、二十二回の総合優勝、又国際大会出場選手の輩出等競技力向上もめざましく、その後も先輩諸兄の指導で培った、会員諸氏の情熱と努力こそが県柔連発展に大きく寄与し、今日の礎になっているものと確信します。

 本年度県柔連推進事項五項目
1.組織の改編に伴う体制の確立
2.ジュニア対策の推進
3.柔道ルネッサンス活動の実践
4.継続的なより良い強化対策の推進
5.公認審判員の体制強化と技能向上の推進

県柔連では年度のはじめに右の五項目を掲げ、各地区代表者と検討確認しながら、財政改革や組織の活性化を図るため、地区柔道の再編成、各種大会の改変、審判技能の質的強化、技能向上を推進しています。
今後も急変する時代に対応できる組織として更に発展させたいと考えています。

 いまや、柔道はスポーツ化、国際化の大きな流れのなかで柔道本来の目的、その教えの原点を見失うようなことがあってはならないと思います。国や時代を問わず、単に選手として活躍するだけでなく、心身ともに健全になり、広い視野をもって社会に貢献できる人間育成こそが、柔道修行の意義ではないかと思います。
 県柔連では、柔道ルネッサンスの一環として「より良い人との交流」をモットーに、「明るく」「楽しく」「元気よく」の三項を掲げ「勝ち負けだけが柔道じゃない。めざそう、文武両道の柔道家を」をキャッチフレーズに、「魅力ある柔道」を展開し青少年の健全育成を重点目標に、柔道人口の拡大、ジュニアから一貫指導体制を確立しながら、レベルの向上を推進して参りたいと思います。

 本県は母なる川「最上川」をはじめ、蔵王、山寺、出羽三山、鳥海山、日本海庄内浜等の名勝を有し、県内全市町村に温泉があり恵まれた自然と食文化の県です。サクランボ、ラフランスの生産は日本一です。この「べにばなの里」山形県の天童市で、来年八月に全国中学校柔道大会が開催されます。是非ご来県いただいてふれて頂ければ幸いと思います。 おわりに、今日までの歴代会長を中心とする諸先輩方の努力と偉業を継承し、山形県柔道連盟の更なる発展を推進させるため会員一丸となり、課題、問題の解決に向けて英知と努力を傾注して頑張る覚悟です。今後も県内諸先輩方のご指導はもとより、講道館、全日本柔道連盟のご指導、ご鞭撻をお願い申し上げ巻頭言といたします。

(山形県柔道連盟会長)

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