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今月のことば

2005年05月

ルネッサンス事業に関連して思うこと

池間 武俊

1.不祥事案とスポーツマン精神
 アテネオリンピックにおける日本の選手達の活躍もあり、スポーツに対する国民の関心は高まり、柔道をはじめ多くの競技において、スポーツを志す少年達が増えていることを聞いて喜んでいる。ところで、最近某大学の体育学部に属する学生らによるいまわしい事件が連続して発生した。幼児を含む婦女子に対する性犯罪が多発し、大きな社会問題となっている矢先での事件で、しかも最高学府の学生らによる犯罪ということもあって、国民から厳しく非難されている。スポーツを愛好し、スポーツに係わって来た者として、これら反社会的な無法行為に怒りを覚えるとともに、全てのスポーツ関係者が社会のルールを遵守、スポーツマンとしての誇りを持って正々堂々と行動し、スポーツに一生懸命励んでいる子ども達のお手本になるよう願っている。

2.母校におけるユニークな人間教育
 県柔連会長になって間もない頃、中学時代の母校のK校長、、I父母の会々長連名による講演の依頼を受け、久しぶりに母校を訪問した。私の母校は、宮古島の片田舎の半農半漁業の風光明媚な平良市字西平の一角にある西辺中学校である。 校門に入ると正面に巨岩がありその中央部分に、「文武両道」と鮮やかに刻まれ踊動感溢れる文字が目に入った。校長からは、「わが校あ、文武両道を校訓に生徒、教職員、父母の会、値域住民が一体となって教育に取り組んでいる。特に故郷を愛し、豊かな人間性を涵養する教育の一環として、地域の大先輩をはじめ各界で活躍している方々に、長年にわたり培った知識や技能を、感受性豊かな生徒達に分けて欲しいとの願いを込めて<たまうつ先生>と称する講師になってもらい、地域の歴史、文化、方言等の講演や農・漁業等の実技指導を受けさせている」旨の説明があった。
 注「たまうつ」とは分配という意味で、故郷西原の方言「ツズウダマウツ」(魚の分配)が語源である。
 今回の講演も、「たまうつ先生」の一人として行うもので、「私の歩んだ道、後輩に望むこと」と題し全校生徒を対象に行ったが、父母の皆さんも多数参加していた。要旨は、
文武両道の校訓を、たえず念頭において勉学にスポーツに励んで欲しいこと。
幼少時に、戦争で九死に一生を得た経験から平和の尊さをいつも思っていること。
中学時代に、試合で大敗し屈辱感を味わったことが、その後の人生に大きな教訓となり「負けることによって強くなる、努力すれば必ず報われる」という言葉を実感していること
精神善用、自他共栄の柔道精神の実践は、自分を高め、思いやりのある心を培うことにつながること。
等である。講師が柔連会長ということで、柔道部員が柔道衣姿で進行役をつとめ、講演終了後は、形の演技、質疑があり有意義な楽しい講演であった。

むすび
 本県においても、ここ数年多発傾向にある犯罪を減らして全ての人々が安全に、安心して暮らせる沖縄県を実現するため、昨年「ちゆらうちな―安全なまちづくり条例」が制定され、「ちゆらひとづくり」、「ちゆらまちづくり」などの運動が推進されている。人間教育を重視したルネッサンス事業を展開している沖柔連としても、今回の条例の制定は時宜を得たものとして喜んでいる。ルネッサンス事業については、地域の多様な人づくり運動と連動した活動を行い、それ相当の成果を挙げつつあるものと思うあ、今後とも関係機関、団体特に学校現場、少年柔道教室、父母の会と連携を密にして、競技力の向上と併せて、柔道を通して「礼儀正しい人づくり」、「思いやりのある人づくり」、「社会のルールを守る人づくり」のため一層努力し知識や技能を分配する「たまうつ先生」としての役目を果たしていきたいと思っている。

(沖縄県柔道連盟前会長)

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