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今月のことば

2005年09月

伝統を継承し、武道としての柔道文化の取り組みを!

藤巻 忠昭

 本年四月、山形県柔道連盟五代目会長に就任いたしました藤巻と申します。  第二十八回アテネオリンピックで日本選手とりわけ柔道選手の大活躍は、柔道を愛する私だけでなく多くの人々に大きな感動と勇気を与えてくれたことは記憶に新しいところであります。  柔道は、世界の百八十七ヵ国で実施されており、すでに国際化されているとはいえ、日本で生まれ、お家芸競技でもあり期待感、勝って当然のプレッシャーを克服して、一本を取る柔道の発揮は素晴らしかったと思っています。  さて、山形県柔道連盟が結成され、本年で人生の還暦にあたる六十年を迎え五月に記念式典を実施いたしました。  柔道の県内での本格的な活動は、戦後の混迷のなかで連盟の組織づくりの検討が重ねられ昭和二十一年に当時の県知事村山道雄氏を会長に結成されたのであります。しかし、占領下の食糧難、学校柔道の禁止など苦難の時代が続き、スポーツどころでない時代に私たちの先輩は、チャレンジ精神に溢れる行動に出て、組織をつくり学校柔道の復活、部活動の充実、各種大会の開催など活発な組織活動のもとに、広く県内に普及するとともに、べにばな国体柔道競技の総合優勝、東北総体十六連勝、国際大会出場選手の輩出等競技力の向上もめざましく、その後も先輩諸兄の指導で培った会員諸氏の情熱と努力こそが本県スポーツ団体の中核となって活躍するなど連盟発展に大きく寄与し、今日の本県柔道連盟の礎になっているところであります。  さて、本連盟では財政改革や組織の活性化を図るため、地区柔連の再編成、専門委員会と部門を設置、各種大会の改変、公認審判員ライセンス制度の導入や審判技能の質的強化・技術向上等を図って参りました。県柔連は今後も急変する時代に対応できる組織として大胆に改革し、将来に向かって更に発展させたいと考えているところであります。  今や、柔道は世界各国に普及実施されておりますが、スポーツ化、国際化の大きな流れの中にも日本傳柔道本来の理念を見失うようなことがあってはならないと思います。国や時代を問わず、選手として活躍するだけでなく、広い視野を持ち柔道の修行を通じて、心身ともに健全なり、広く社会に貢献できる人間になることを志すため、「魅力ある柔道」を広める柔道ルネッサンス―皆で考えよう柔道の心―夢・友情・敬愛・挑戦を展開し青少年の健全育成を重点目標に柔道人口の拡大、ジュニアからの一貫指導体制を確立しながら競技レベルの向上を推進して参ります。  よくよくその原点を確認し、魅力ある柔道の普及、競技力の向上を目途に、武道として柔道文化としての価値を高め、柔道修行をする人々にとって、国際柔道連盟コーチング理事長山下泰裕氏、日本経団連会長奥田硯氏共著の『武士道とともに生きる』は多くの示唆を与え、説得力のある素晴らしい内容のある本であり、本県でも大いに参考にして柔道の飛躍を期して参りたいと考えております。  終りに、今日まで歴代会長を中心として諸先輩の努力が良い方に実を結び山形県柔連も着実に進んでいるところでありますが、今後も全日本柔道連盟のご指導はもとより県内諸先輩皆様の暖かいご指導により、先人の方々の培われた歴史と伝統を無にすることなく、課題・問題の解決に向け責任体制と役割分担の明確化を図りながら栄光に向かって、英和と努力を傾注して本連盟の更なる充実・発展のため頑張る覚悟でありますのでご指導、ご鞭撻をお願い申し上げ巻頭言といたします。

(山形県柔道連盟会長)

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