今月のことば

2004年03月

国体の成果を将来に

高柳　喜一

　"がんばるが好き"をスローガンに燃えに燃えた第５８回国民体育大会柔道競技会も、静岡県柔道協会・浜北市・浜北市体育協会・ボランティア各会員のすばらしい団結力の下、盛大の裡に幕を閉じることができました。
　思えば、開催地の内定を受けて以来七年の歳月は、クリアしなければならない議題があまりにも多く、正直なところ大変苦労いたしました。
　まずは、リハーサル大会（第２７回全国教員大会）に向けて、競技役員の研修・実践を重ね、円滑な大会運営に備えてまいりました。
　しかし、会場のグリーン・アリーナは新設されたばかり、使い勝手の不慣れさはいたしかたありません。又、役員、係員、補助員の多人数による連絡、調整の不徹底など反省すべき点はたくさん残されました。これらリハーサル大会を経験することによってはじめて見えてくる数々の教訓を基に、一から出直すつもりで、新たに反省、研修会を重ね、本大会の年を迎えることができました。
　いざ本番、平成十五年十月二十六日?二十八日の三日間は、あっという間の出来事のように過ぎてしまいました。なんといっても大きなトラブルもなくスムーズに進行できたことが主催者として何よりありがたいことです。これもリハーサル大会の教訓はもちろん役員の皆さんの一丸となっての真摯な取組みの賜ものと感謝せずにはいられません。
　そして、この大会をとおして改めて、わが静岡県柔道協会会員の団結力と会員一人ひとりの柔道人としての精力善用、自他共栄に徹した姿に感動を覚えた次第です。
　本大会は常陸宮同妃両殿下の御臨席を仰ぐ幸運に恵まれ、一層の盛り上がりを見ることができました。お陰を持ちましてわが県の試合成績も、天皇杯、皇后杯、総合とも四位という、静岡県としては過去最高の記録を残すことができました。
　選手諸君は、郷土の誇りと磨きぬかれた技と力をもって必勝の意気に燃えて敢闘してくれました。その雄姿はまさしく"感動いっぱい緑の道場INはまきた"のスローガンを具現してくれたものと感激しております。
　この三日間、終始観客席を埋めつくしてくれた地元応援団の大声援がグリーン・アリーナに響きつづけたことも主催者としてこれ以上の喜びはありません。
　無料休憩所においても市内ボランティアの方々の献身的な活動によって、豚汁、団子汁、メロン、みかん、柿が提供され、全国津々浦々より参集した選手、役員、応援の皆さんに浜北市のぬくもりをいっぱい受けとめていただくことができたものと思います。
　大矢全柔連副会長をはじめ各県の多くの先生方より「すばらしい国体だ」とお褒めの言葉を頂戴し、恐縮の限りですが、国体の目的である地域振興発展と文化の交流にいささかながら貢献できたのではないかと自負しております。
　地元にとりましては、レベルの高い熱戦を目の当たりにして、競技力向上はいうに及ばず、幼児、小中学生をはじめ老若男女に「柔道」の魅力を知っていただくこの上ない啓発の機会を与えてもらったようなものです。
　特にいちばん身近な西部地区にとっては地元国体開催はなによりの刺激剤となったと思われます。浜北市柔道協会は、浜北市教育委員会の競技力向上事業に積極的に参画し、小中学生を中心に強化合宿、遠征試合を重ね、柔道少年育成に大きく貢献してくれました。　その成果の一端が、一級審査、月次試合、昇段審査、形講習会受験者の増加となって現れてきていることはうれしいかぎりです。
　おわりになりましたが、この国体成功に大きな期待を寄せ、永い間にわたって御指導を賜った故望月映英名誉会長をはじめ多くの先輩諸氏の霊に深甚なる感謝の意を捧げる次第です。
　平成十六年は二十一世紀最初のオリンピック開催の年です。アテネ・オリンピックは、まさに原点に戻るオリンピックといえましょう。静岡県柔道協会も、第５８回国体成功をなによりのジャンピング・ボードとして、謙虚に初心に返って現実を見つめ直し、自然体の内にも精力最善活用の道を求め、自他共栄のすばらしさを分かち合い、世のため人のために邁進していく所存です。
　そして、その努力こそが「柔道ルネッサンス」をわが県において実践し、一人でも多くの青少年を青い畳の上に上がらせる普及策となると確信しております。
　どうぞ、今後とも御指導、御支援のほどよろしくお願い申し上げます。

（静岡県柔道協会会長）

講道館