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今月のことば

2015年7月号

静岡県柔道の発展を目指して

野田昭一

 

平成26年4月、静岡県柔道協会会長に推挙され、就任いたしました。
これまで西田亀会長(当時)のご指導のもとで柔道協会の役員を始め、代々の会長のもとで協会の強化部長として県のレベルアップに努め、理事長として大会運営を担ってきました。また高体連の委員長を16年間務め、その集大成として全国高体連副部長を務めさせて頂きました。重責でありましたが素晴らしい経験で、これを活かし今後も県柔道協会長という大役に臨んでいく所存です。

 私は昭和43年4月、静岡学園高校に赴任して以来、柔道指導者として高校柔道に携わって参りました。静岡学園高校は地方ながら選手に恵まれ、全国大会にチーム・個人を多く出場させることができ、日本一の選手を輩出することもできました。全日本学生選手権無差別で優勝した山本稔、全日本ジュニア優勝の海野幸彦、インターハイ優勝の井川清隆、また柔道選手の晴れ舞台である全日本柔道選手権へ高校生として出場を果した佐藤和哉、今年度出場の山下諒輔などがおります。どの選手にも思い出があり、私の誇りです。
 今後もこのような選手を数多く静岡県から輩出するためにも、県柔道協会では現代の柔道界の課題として次の3点に取り組んでいきます。
⑴ 柔道人口の減少対策
親子・初心者教室等の開催・実施
 昨今の柔道人口の減少の要因として、若い世代の柔道離れがあります。柔道に触れる機会のない低学年児童や未就学児たちに向けて、親子・初心者教室等を開催し、柔道に触れる機会を積極的に提供することが必要と思われます。その際に保護者にも柔道衣を着て実際に体験してもらうことで、子どもだけでなく保護者にも柔道の素晴らしさを広めていきたいと思っております。柔道を学ぼうとする子どもを増やし、それを支援するご家庭の理解を深めることで、よりよい柔道環境を整えていくことが狙いです。
県柔道協会ホームページの充実
 現在ではインターネット上で情報を得る機会が大変に多く、特に若い世代で顕著に見られます。県協会としても昨年ホームページを立ち上げました。柔道に興味を持った若者が気軽に情報を得られるように、また柔道により興味を持ってもらえるようにホームページで情報提供していきたいと考えています。
指導者の資質向上
 全柔連・講道館の講習会を始め、講習会開催機会を増やし、それを通じて指導者の柔道理解や資質向上に繋げられるようにしていきます。
⑵ 全日本形競技大会参加者の増強
 静岡県内で形講習会・形競技大会を開催し、地区予選会に選出する選手の育成や形の理解や技術向上を目指します。指導者側としても全国講習会に計画的に参加し、指導者そのものの育成と共に伝達講習を行い、中央の技術を広く県内の指導者に伝えていきます。
⑶ 県柔道協会の組織改革
 静岡県では昨年から組織の改革を行っています。これまでの細分化されていた委員会・部会を再編成して、それぞれに権限と責任を集約しました。事業の推進や情報の共有化を図り、協会運営を円滑にすることが狙いです。これにより新しくなった全柔連の活動組織に連動することが可能となりました。組織再編から1年経ちましたが、今後もより良い組織運営を目指し改革を引き続き実施していきます。
 以上の重点目標を掲げ、県柔道協会の会員一人一人が柔道発展のために日々努力しています。
 また個人的に力を入れたいと思っていることに「柔道MIND活動」があります。これは周知の通り全柔連改革の1つです。嘉納治五郎師範の教えの精神、柔道の心に立ち返ろうという取り組みであり、Manner(礼儀)、Independence(自立)、Nobility(高潔)、Dignity(品格)これらを守ってこそ真の柔道家に相応しいとのメッセージがこめられています。
 私が昔から特に指導しているのが「礼儀」です。柔道は礼を重んじる競技です。柔道初心者、特に小さな子どもたちに散見されるのが、試合の終わった後に礼を忘れてしまうことです。柔道は武道であり、ただ勝敗を競うだけのスポーツではありません。勝負をしてくれた相手へ心から感謝し礼儀を尽す行為は、柔道MINDの精神そのものです。「礼に始まり、礼に終わる」、それを今後も子どもたちに指導していきたいと考えております。  柔道を教えて47年が過ぎました。先述した山下諒輔選手は父親・叔父が共に静岡学園高校柔道部OBで、彼は私にとって孫弟子にあたります。私の教え子が親になり、その子が孫弟子となり、柔道の精神が脈々と受け継がれていることが大変嬉しくもあり、今後も続くことを強く願ってやみません。
 孫弟子世代の全日本での活躍を楽しみつつ、今後も柔道の精神を培った子どもたちが増えていくよう、柔道指導者として生涯現役を貫き、微力ながら柔道発展のため尽力したいと思っています。
(静岡県柔道協会会長)

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