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今月のことば

2020年4月号

更なる「ワンチーム柔道ちば」を目指して

石井一夫


はじめに
 明治31(1898)年に創刊の講道館柔道機関誌が『國士』から誌名を変えながら現在の『柔道』となり、日本で最も歴史と伝統ある機関誌の巻頭言への執筆依頼を賜りましたことは、柔道人として無上の喜びであります。
 不肖私は平成31(2019)年4月の県柔道連盟総会において第11代会長に推挙され就任しました。本県柔連で長きに亘り、この道に熟達し卓越した先達者である、山口宏、田中登、三橋秋義の各会長には事務局員、常任理事として、その後の了?寺健二、関勝治の各会長には副会長兼理事長として、ご指導を頂いてまいりました。

本県柔道の黎明期
 明治初期に戸塚英澄・戸塚英美の戸塚派楊心流柔術は千葉において隆盛を極め、警視庁教師招聘の件や警視庁武術大会で戸塚派と講道館は雌雄を決する戦いをし、その後講道館柔道の真価を認め柔道発展に大きく貢献しています。また戸塚英美は大日本武徳会から柔道範士にも選出され、門弟の数も多く現千葉市中央区でも道場を構えていました。その墓は現在の千葉城の下、胤重寺にあり千葉県の史跡になっています。この戸塚派と「講道館柔道」創設時代にライバルであった、嘉納治五郎師範の墓所も千葉県松戸市の八柱霊園にあります。奇しくも一時期は激しく鎬を削った創始者の墓所が千葉県内にあることも、その後の千葉県柔道隆盛の礎となることが予見されました。
 大正12(1923)年に千葉県柔道有段者会が設立され、講道館段位の推薦権が与えられました。そして昭和24(1949)年柔道有段者会は発展的に解消され、千葉県柔道協会設立(昭和54年柔道連盟と改称)となりました。初代会長には有段者会の会長を長く務めた船橋市の医師、山崎昇氏が、2代目会長には東京ガスの安西浩氏が3代目会長には館山市長の田村利男氏が連盟草創期の本県柔道の礎を確立し、以来、西村鋭夫、冨沢道次、山口宏の各会長が県内柔道の更なる発展・充実を図りました。この間、安房高校出身の醍醐敏郎十段、佐倉高校出身の大沢慶己十段をはじめ、関勝治、篠巻政利、故高木長之助各氏などを輩出しました。高校柔道では安房高校が第3回全国大会で優勝し、その後連続して準優勝するなど千葉県柔道の黄金時代を創った時期でもありました。

本県柔道の現状と躍進
 競技力の面から本県柔道の牽引者は、一般・大学では了?寺学園、京葉ガス、千葉県警察、千葉ヤックス、国際武道大学が、高校では、東海大学浦安高校、木更津総合高校、市立習志野高校、千葉経済大学附属高校、八千代高校等が中心でライバルとして切磋琢磨する中で、県全体の競技力を向上させています。中学校、小学生チームも充実した環境で着実に実力が向上し成果も表れています。更に、本県柔道の底力を上げている要因に、県内で開催される諸大会や各種親善試合等へ全国、関東近県から多数のチームが参加して頂いていることがあります。高校では春休みに関東、全国から60校近い学校を迎え、日本武道館研修センターや国際武道大学、県武道館を会場に関東親善大会を催し強化試合をしています。また、国際武道大学の「若潮杯」、城西国際大学の「水田杯」にも全国の強豪校に多数参加して頂き、本県の生徒には居ながらにして大いに充実した強化活動となっています。近年は、実業団、大学生を中心とした大会も開催し、東京、関東の上位チームの参加も多く、胸を借りる本県選手の競技力向上には高校生同様に大いに貢献して頂いています。
 これらの成果は着実に表れ、近年の本県選手は全国大会でも素晴らしい活躍を見せています。平成12(2000)年には市立柏高校が高校総体で女子団体3連覇を達成、平成24(2012)年には東海大学浦安高校が高校3冠を達成しました。国体では岐阜国体で少年男子が初優勝を飾り総合優勝の原動力となり、福井国体でも総合優勝を果し、近年の各種別成績も優勝や常に上位に入賞する活躍に繋がっています。そして本県柔道の充実、活躍ぶりの極致は昨年の全日本選手権大会でのウルフ・アロン選手(了?寺学園職)と加藤博剛選手(千葉県警)が決勝戦まで両名ともオール一本勝ちで勝ち上がり見事な試合を展開したことでありました。平成24年にはこの大会を制覇した加藤選手と決勝で対戦したのも本県出身の石井竜太選手(東海大浦安高校出身)でありました。全日本女子選手権でも平成25(2013)年に緒方亜香里選手(了?寺学園職)が優勝しました。その他の主な近年の本県選手の活躍を紹介すると、昭和63(1988)年のソウルオリンピックで江崎史子選手(八千代松陰高校出身)が48kg級で銀メダル、平成24(2012)年にはロンドンオリンピックで平岡拓晃選手(了?寺学園職)が60kg級で銀メダル、更に、平成28(2016)年のリオオリンピックでは、ベイカー茉秋選手(東海大浦安高校出身)が90kg級でこの階級では日本人初の金メダルを獲得するなど、誠に目覚ましい活躍があり、本県柔道の充実ぶりを表していると思います。また、小学生、中学生、高校生も全国や関東大会での優勝、入賞者は枚挙に暇がないほどで、所属チームの充実が感じられます。
結びに
 本県連盟発足から70年の長きに亘って脈々と築いてきた「柔道千葉」の競技力を更に高めることは基より、近年柔道界が抱える、「修行者の減少問題」「重大事故防止」「指導者による暴力・パワハラ・セクハラ問題」等へも連盟組織として積極的に対応してゆきます。そして、本県柔道人皆が「柔道を学んで良かった」「柔道を指導して良かった」「柔道の事業行事に関わって良かった」と思える「ワンチーム柔道ちば」で活動・活躍できる柔道連盟を目指します。
                             (千葉県柔道連盟会長)

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