今月のことば
2011年11月
柔道王国のさらなる発展を目指して
了?寺健二
本年4月から、伝統ある千葉県柔道連盟の会長を拝命し、身の引き締まる思いであります。御承知の通り、千葉県は、三方を海に囲まれ、温暖で豊かな風土に恵まれております。風土は人を育み、柔道界においても、傑出した人材を輩出して参りました。
1951年、1954年の全日本柔道選手権大会の覇者醍醐敏郎十段や、第6回、第7回世界柔道選手権大会無差別金メダリスト篠巻政利八段、第8回世界柔道選手権大会重量級金メダリスト 高木長之助八段など、世界に通じる海を配した豊かな風土は、総じて重量級の逸材を輩出してきたのでした。また、そこには、安房高校を中心とした正統派で伸びやかな柔道の存在なしでは語ることはできません。
現在も、そのような柔道王国としての熱い炎は燃え続き、昨年の千葉国体成年の部男女のアベック優勝や、8月フランス・パリで開催された第28回世界柔道選手権大会に、了?寺学園から6名の選手が日本代表として出場いたしました。その結果は、佐藤愛子が涙の復活で金メダルを獲得し、以下銀メダル3、銅メダル1、五位入賞という大きな成果を上げております。
また、我が県のレベルの高さを象徴する結果を示すのは、本年4月に開催された全日本選抜体重別選手権の90kg級です。何と、優勝、二位、三位と、我が県の選手が独占する結果となり、千葉県のレベルを認識する結果となったのでした。
これらの結果が示すように、千葉県における成年の部の各種予選会は、極めて熾烈な戦いを呈することになります。全日本県予選や国体予選会など、全日本の本戦さながらの高いレベルの戦いが再現することになっているのです。
一方では、少年たちが世界のトップレベルの柔道を見て学ぶ良い機会ともなっており、これらは、やがて県全体の底上げに結びついていくと期待しているところです。特に、正しい柔道の普及発展は、当職の使命とも考えているところであり、県道場連盟や高体連、中体連などの組織を活用して、関勝治副会長を中心に、正しく組んで、理論的な正しい技や柔道の真髄を伝える活動を始めております。
更に、世界チャンピオンを中心に、高いレベルの技や柔道に対する思いを、少年たちに伝える活動を、深めていく予定であります。
次に、私たちが果すべき役割のうち大事なことは、嘉納治五郎師範の説かれた、教育的価値の啓発活動です。周知の通り、平成24年4月から中学校武道必修化が始まります。義務教育である中学校の武道必修化は、日本に脈々と受け継がれた和の精神や礼を貴ぶ日本文化の継承の手段として、極めて意義深いものであります。武道、就中柔道は、それを修練する中で、肉体と精神を磨き、それから会得する克己心などは、人として生きるべき道を少年に与え得るものと期待されます。
私たち千葉県では、それに添うべく柔道授業の充実を図るために、この8月に中学校教員を対象とした講習会を実施して参りました。安全に、正しい柔道の普及発展を、全柔連の武道必修化対策に添って活動を進めて参る所存です。
結びに、私事になりますが、当職は、45年前に本土最南端から徒手空拳で上京し、身寄りない地で身を起こし、現在、非常勤を含めて1000人の職員を率いる立場にあります。浦安の東京湾を一望する絶景に建つ了?寺大学や、首都圏に整形外科を中心とした医療法人の運営、また、これらを支援する五つの法人を統括しております。まだ発展途上でありますが、ここまでの軌跡は、柔道抜きでは語ることはできません。初志貫徹の精神や、またどんな困難に遭遇しても決してあきらめない粘り強さ、目標を設定しやり遂げる断行力、長所を活かし育て上げる人材育成術、更には、礼節を貴び、和の心を継承した組織運営術、人を思いやる心や、義理を果し有言実行するなど、いずれも柔道の先輩、先人たちの行動哲学を学び活かした結果だったのでした。更に、世界の舞台で日の丸を掲げ、日本国民に勇気と誇りを回帰させると言う、高い理念で創部した了?寺学園柔道部にも励まされ、監督や選手たちに学んだ結果と言えると考えています。
国や世界に貢献し、常に弱い立場の人々や国民の立場から俯瞰して行動、実践し、沢山の人々の喜びや幸福につながる事業こそが成功すると考えています。そして、私たち了?寺学園の柔道部で評価される選手は、人より優秀だったり、人より強い選手ではありません。「昨日より今日、今日より明日」と自分を乗り越える努力をして、いつの日か他を凌駕する選手なのです。再起不能と評されて、大怪我から気の遠くなるような努力を積み重ねて、見事涙の復活を果した57kg級の佐藤愛子が、私たちのモデルと言えます。
これからも、国民に勇気と誇りを回帰させる土壌作りを、千葉県で柔道界一体となって地道に果したく願っています。
(千葉県柔道連盟会長)
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