HOME > 今月のことば > 2008年05月

今月のことば

2008年05月

柔道への私の思い

佐野 修弘

 私と柔道との出逢いは丁度小学校5年の時、亡父がこれからの時代は柔道等を通じ人を鍛える必要が有るという事で町道場友親会で修行させて頂く事となりました。2年間基本を教えて頂き桂中学へ入学致しました。当時は柔道場もなく、運動場の片隅の草叢で非常に激しく熱心な西先生に鍛えられ、死ぬ思いで練習に励み地元ではお蔭様で無敵で戦うことが出来、桂高校・同志社大学へと進みました。
 私達の時代は体重別ではなく、小柄であったので人の2倍も3倍も練習し、大学4回生の時にはレギュラーの一員として大会に挑む事も出来ました。
 卒業後は母校柔道部の監督も6年間務めさせて頂き、今は少しでも柔道界のお役に立てればとお世話をさせて頂いて居ります。
 年月の経つのは早いもので、私も今年70歳の古稀を迎えますがお蔭様でまだ現役で事業経営とスポーツ界のお世話をさせて頂いて居ります。この70年の人生を振り返って見る時、柔道を通じて得た教訓や経験が今日の自分の人生を支えているものと感謝致して居ります。
 今世の中で一番失われている事は倫理観や良心で、ややもすると自己中心的な行動が多く見られ人間としての尊厳が無くなっています。人の命を簡単に奪ったり傷をつけたりが日常茶飯事のこととして起こっています。
 戦後日本は物質文明に酔い、偏差値教育に狂い、精神文化を忘れているのではないでしょうか。文部科学省も最近人を鍛える為教育の中に柔道・剣道・ダンス(?)を正科として取り上げようとして居りますが、是非一日も早く具体化して欲しいものです。そして礼儀作法・法律や秩序を自然に学んで欲しいと思います。
 扨て、日本で生れ育った柔道も普及発展をし、国際的なスポーツとして広まった事は嬉しい事ですが、その一番大切な精神よりも競技スポーツとして勝敗のみに拘り過ぎ、本来の柔道の真髄や魂が失われているのではないでしょうか。又最近は国際柔道連盟の議決権の有る理事に日本から一人も加わっていないのは残念でなりません。取り敢えず当面地位回復にはオリンピック等で日本が圧倒的な強さを誇る事だと思います。又柔道の指導者や関係者が国際的に信頼され、リーダーシップの取れる幅広い教養と人間性を構築していかなければなりません。
 日本の輝かしい歴史と伝統有る柔道が国際的に愛される存在で常に日本の考え方が尊重される状態でありたいものです。
 柔道の更なる発展と隆盛を願ってやみません。

(京都府柔道連盟会長)

最新記事