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今月のことば

2022年10月

2024SAGA国民スポーツ大会成功に向けて

小形健二


はじめに
 新型コロナウイルス感染症が拡大し、世界中の人々に甚大な被害をもたらしています。お亡くなりになられた方々に対し、心より御冥福をお祈り申し上げます。また、昨年4月1日に中島祥雄前佐賀県柔道協会長が他界されました。柔道を愛し、県内の柔道の普及、振興に努めてこられた会長を失ったことは、痛恨の極みであります。葬儀に際して、多くの方々に御参列、また、供花・弔電等をいただき誠にありがとうございました。本県柔道協会を代表して心より御礼申し上げます。
 私は、平成20年4月、佐賀県柔道協会理事長に就任以来、相良元会長、中島前会長と共に佐賀県柔道界発展のため活動をしていたことから、令和3年4月の理事会において会長に就任することが決まり、現在に至っています。今年は明治15年に嘉納師範が東京・下谷の永昌寺の書院を道場として講道館柔道を創始されて140周年という節目の年です。この年に歴史と伝統ある機関誌『柔道』の巻頭言執筆の機会を得ましたことは、柔道人として無上の喜びであります。
2024SAGA国民スポーツ大会
  本県では2024年に国民スポーツ大会が開催されます。大会名が国民体育大会から国民スポーツ大会へ変更される記念すべき大会であり、それにふさわしい大会にするべく準備しているところです。
⑴ 強化対策
 佐賀県開催2巡目となる今回の大会も、前回大会同様、総合優勝を目指しています。そのための対策は早い時期から行って参りました。まずより質の高い少年柔道指導者の育成を目指し、計画的に養成講習会を開催し、指導力向上を図りました。さらに、少年柔道の段階から強化体制を整えるべく、強化選手へ指定証とワッペンを授与して選手としての意識づけを行うと共に、毎週1回の小中高一般の合同練習会、小中や中高など学年を超えた県内外の合同合宿を数多く行ってきました。さらに中央団体から一流選手を招聘し、全国レベルの講習会も主催してきました。また、柔道人口を増やす方策として、地域の子どもたちへの勧誘やポスター掲示による募集活動を活発に行っている他、全国少年柔道協議会主催による柔道教室を開催し、未経験者に柔道の魅力を伝える機会を増やす工夫もしてきました。
 このように様々な強化や活動は、佐賀県のSSP(SAGAスポーツピラミッド)構想に依るところが非常に大きいといわねばなりません。このSSP構想では、競技ごとにチームを編成し、競技力向上を長期的、継続的に実施すること、また指導者を育成する仕組みの構築を目指しています。これらを効果的かつ現場に根付いた形で実現するために、県は方針に沿って支援メニューを示し、競技団体はメニューを参考に育成プログラムを定め、県とスポーツ協会と競技団体が協力しながらアスリートを育てていきます。計画した育成プログラムが円滑に実施できるのは、県の交付金を最大限に活用させていただいているお陰でもあります。地道な活動の成果は、後述の通り戦績にも現れるようになってきました。
 平成29年度、平成30年度全国高等学校選手権大会、平成30年度、令和元年度全国高等学校大会男子60kg級は近藤隼斗選手(佐賀工業)が優勝、平成30年度全国高等学校選手権大会男子81kg級は小畑大樹選手(佐賀商業)が準優勝、令和元年度全国高等学校大会男子66kg級は田中龍馬選手(佐賀商業)が優勝。令和3年度全国高等学校選手権大会女子無差別は橋口茉央選手(佐賀商業)が優勝、女子63kg級で鹿歩夏選手(佐賀商業)、女子48kg級で近藤美月選手(佐賀商業)、男子73kg級で田中龍雅選手(佐賀商業)が準優勝。令和3年度全国中学校大会男子60kg級は古賀学選手(芦刈中)が準優勝。令和3年度全国高等学校大会女子団体は佐賀商業が準優勝。同大会女子48kg級は近藤美月選手(佐賀商業)が優勝、女子70kg級は森静玖選手(佐賀商業)が準優勝。全日本ジュニア女子体重別選手権大会78kg超級は橋口茉央選手(佐賀商業)が準優勝。令和4年度全国高等学校選手権大会女子団体は佐賀商業が初優勝、同大会男子73kg級は田中龍雅選手(佐賀商業)が優勝。入賞者を多く列挙することになりましたが、頼もしい限りです。今年の全国中学校・高等学校大会でも必ずや良い結果を出してくれるものと信じています。
⑵ 運営面
 ここ十数年、九州大会等を数多く開催することでスタッフの育成に努めて参りました。今後のリハーサル大会では、中央団体から運営関係者を招聘し、指導助言をいただくよう考えています。またコロナ禍の影響で中止していた運営スタッフの栃木、鹿児島国体視察を実施し、佐賀大会に向けて万全を期したいと思っています。
 佐賀県では、国民スポーツ大会に向けハード面での整備も進んでいて、佐賀市には新たにサンライズパークアリーナが建設されています。柔道競技はこのメインアリーナでの開催が決定しており、必ずや皆様の記憶に残る素晴らしい大会になるものと確信しております。
おわりに
 ロシアによるウクライナ侵攻、安倍元首相狙撃事件等が起きるような今こそ、我々は、明治の混沌とした時代に柔道の普及を通して世界平和に尽くされた嘉納師範の教えに学び、柔道を通して社会平和に貢献していかなければならないと考える次第です。私自身、柔道によって育てられ、柔道を通じて素晴らしい恩師、先輩後輩、盟友に恵まれ、「勝負としての柔道」だけでなく、「教育としての柔道」「人づくりとしての柔道」に触れ、修練を積むうちに少しずつではありますが「精力善用・自他共栄」が身についていったように思います。この「人をはぐくむ柔道」を多くの人に知ってもらいたいという願いと、私を育ててくれた柔道界への恩返しをこめて、佐賀県柔道協会の発展に尽くす覚悟ですので、今後とも御指導、御支援、御協力の程、よろしくお願い致します。
                          (佐賀県柔道協会会長)

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