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今月のことば

2010年11月

文武両道

荒木征三

 平成22年1月より一部改正された国際柔道連盟試合審判規定が、日本国内の主要な大会で採用されることになり、各種大会が実施されています。
 観戦しておりまして、全日本柔道連盟の悲願であった「正しく組んで、理に適った技で一本を取る柔道」、即ち本来の講道館柔道が帰って来たと感じております。
 試合者も、何時飛び出してくるか分からぬ足取り等にビクビクすること無く、正しく組み合い堂々と試合や練習を行っており、また観戦者も大技・小技が出るのを期待しながら、わくわくしながら安心して観ていることが出来るようになり、魅力ある柔道が戻り、日本はもとより世界的に柔道愛好者・修行者は安堵しているものと思っております。
 長崎県の柔道人口で推測して見て、平成21年末で登録数は、2242人であり、柔道修行者は登録数の約3倍とみて6726人となり、これに柔道修行者の家族等の数を加えると、相当数の人々が柔道に何らかの形で関与しているものと思われます。
 スポーツの多様化また少子化等も含めて考えても、そう悲観視する状況では無いのではないかと思われます。しかし、更なる魅力ある柔道に持って行けば、もっと子供たちや保護者等の目を柔道に引きつけて、柔道人口が増えていくものと思われます。
 その方策の一つでありますが、「文武両道」の推進であります。嘉納治五郎師範は、「柔術」を研究・工夫され「柔道」と改名され新しい講道館柔道を創設されました。
 その真髄は、体育・徳育・知育の教育をもって講道館柔道の修行目的と位置づけられ、即ち「講道館柔道は体育・勝負・修心の目的を有し、人間形成の一つの道と改め、術は道に入る手段であると位置づける」と教えられております。
 この柔道精神を、「精力善用」「自他共栄」と説かれ、この精神の素晴らしさが日本は勿論のこと全世界に認められ、今や世界の柔道、オリンピックの柔道となったものと信じております。
 現在、人間形成として柔道ルネッサンス運動の推進、更には中学校武道必修化が決定されております。
 親が子に柔道を習わせるのは、オリンピック選手やプロ的柔道家にすることを目的とする人も一部にはあるでしょうが、大半は我が子の身体が丈夫になり、いじめ等に遭わず、友達を得、逞しい子供に成長してもらいたい一心からと思います。
 指導者は、このことを肝に銘じて各道場において「文武両道」を説き指導していけば、今以上に魅力ある武道(スポーツ)となってその裾野は広がり、その中からトップアスリートや社会の指導者が育って来るものと信じています。
 「柔道」表紙を飾る嘉納治五郎師範の立像は、正に将来を見据えられ日本が興隆するは「文武両道」の精神にあるぞと教えておられます。

(長崎県柔道協会会長)

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