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今月のことば

2005年02月

京都市・パリ市 友好親善柔道大会に想う

長谷拓興

"やぁ、メルシーヴォーク!トレビアン!"
"メルシーヴォーク!トレビアン!"
 すでにドゴール空港まで出迎えに来ていただいているパリ柔道連盟の親しい多くの友人や役員の方々に対し、私は嬉しくなって拙ないフランス語で思わず大声をあげて、そう叫んだ。
 すると、"オオ、アリガトウ!ゲンキ!アリガトウ!ゲンキ!!"
そう一斉に日本語でフランスの友人達はニコニコして、体全体で熱い歓迎をしてくれた。

?これが友好親善のはじまりである
 これは、つい二ヶ月前の11月28日、第15回目を迎えたパリ市・京都市親善友好大会の、はじまりの一コマである。この相手を親友として尊敬するお互いの相手国の言葉の一ツ一ツにその国の人々の人格を尊び、心の通いあったさわやかな笑顔こそが、限りない輝きとなってパリ市・京都市の、ひいてはフランスと日本との暖かい友情親善に強い信頼ともなって、友好の実が脈々と生き育つものであり、友好親善の確固とした結実に、つながるものと私は強く実感し、そう信じている。

?フランス大統領府「エリーゼ宮」において
プレジダン長谷との別格拝謁の通達
 この特筆すべき通達は、フランス大統領府より、東京都麻布のフランス大使館の高官であるFrederic-TouTLEMONDE氏を通してのものであり、「十一月二十九日午後三時三十分にフランス大統領府"エリーゼ宮"において、シラク大統領副官(副大統領)GOURDAULT-MONTAGNE氏との拝謁が正式に決定した」との通達であった。
 このことは私にとって無上の光栄であった。しかし、それ以上に京都市柔道連盟の明日への希望に充ちた遠大な飛躍への快挙でもあると深く感謝した。

?小生唯一人エリーゼ宮に入府
 いよいよ約束の29日3時30分、副大統領M.G閣下に拝謁することとなり、私はフランス語で丁重に初対面のご挨拶をした。

?フランス大統領シラク閣下の伝言あり
 副大統領閣下と拝謁の冒頭、シラク大統領よりの伝言が伝えられた。
『本日お会いする約束をしていましたが、急を要する大切な公務のため、会えなくなったことは残念です。
しかし2005年○月○○日(日時は決まっているがあえて○とした)には日本に行きます。その日には必ずムッシュ長谷にお会いしましょう。』というものであった。

?エリーゼ宮内における副大統領との対談
 M.G閣下より驚くほどご丁重なるご挨拶があり恐縮の至りであった。約三十分余に及ぶ会話を交わした。
 余程の人でなければ決して入ることを許されない厳重なエリーゼ宮で、今自分がそのような場所にいることも忘れ歓談させて戴いたことは終生忘れられない思い出である。と同じ時に、今後、京都市・パリ市のより高次元に立った親密な友好への限りない希望と光を感じた会談ではあった。

?M.G閣下に申し上げた要旨
 閣下に心をこめて申し上げたことは、すでに大統領には、お送りした私の博士論文(教育価値学説史論)の骨子の論旨と理念については御覧いただいていることではあるが、このパリ市と京都市の柔道親善友好大会においても、ただ勝ち負けのみにこだわりすぎることなく、両市があくまで友好を高め、心を通じ合い、共に仲良く健全に発展すうことを重要な目的とした私の主張に、かつてパリ市の市長をされていた現フランス大統領シラク閣下が、このすべてを全く心よく御同意下さったことは今も決して忘れられない感動と感謝である等々を申し上げた。

?今後の方向性と期待
 両市のこの大会をパリ市、京都市にのみ留めることなく将来フランス国、日本国が、うたわれている「大義名分」の偉大な理念のもと両国が永久に仲よく手をたずさえ、さわやかに繁栄しつづけることの偉大な、そして崇高な方向性を心から念じ期待するものである。

?世界につながる日本の伝統文化「柔道」の今後の展望
 日本の伝統文化「柔道」に対し開祖嘉納師範の言葉を今あらためてここに記そう。
『試合に勝つことは勿論言をまたず、極めて深い偉大なる意味がある。しかし、それと共に決して忘れてはならないことは、(イ)己に克つことの重要さと共に、(ロ)限りなく多くの世界の人々に気力と希望とそして誇りさえを与える馥郁とした理念こそが極めて大切である』と。
「柔道は人の道を大切にする心を養う道」であるとも言えよう。

 この国際友好柔道大会が、これら多くの人々と共に、世界の全人類の限りない英智と和合の心と、そして明るい平和への協調発展につながるであろうことを、心から念じ結びといたします。

(京都府柔道連盟会長・京都市柔道連盟名誉会長・教育学博士)

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