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「日アセアン JITA-KYOEI PROJECT」講道館国際柔道セミナー2018 及びJICA青年海外協力隊技術補完研修が修了しました

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「日アセアン JITAーKYOEI PROJECT」の一環として実施されていた講道館国際柔道セミナー2018及びJICA(国際協力機構) 青年海外協力隊2018年度3,4次隊柔道隊員候補生の技術補完研修が、9月27日(木)に修了した。

 

講道館国際柔道セミナーは、将来指導的立場に立つことが期待されている若手指導者に正しい講道館柔道の理論と技術を教育し、必要な素養を具えた資質の高い指導者を養成して、各国の指導を充実させ、世界における講道館柔道の健全な発展を図ることを目的に、平成11(1999)年から開催されている。

 

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今回は、昨年の9月に開催された同セミナーと同じく、平成28(2016)年度から開始された講道館と国際交流基金アジアセンターとの合同事業「日アセアンJITA-KYOEI PROJECT」の一環として、アセアン諸国から指導者を招いて行われた。

 

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参加者は、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオスから派遣された指導者18名と、これからJICA青年海外協力隊柔道隊員として海外で指導をする予定の候補生3名(ペルー、コロンビア、ザンビア派遣予定)の計21名であった。

・受講生

【国際セミナー参加者18名】

Mr. Daravuth SAO        / Mr. Vichet HENG        (カンボジア)

Mr. Si Thu Zaw         / Mr. Chit Min Min Ko      (ミャンマー)

Mr. Archwchonm EKAKKHAITTHIKUL / Mr. Chiaochan CHAOBANKOH       (タイ)

Ms. Yee Ling NGO        / Ms. Youhui TANG       (シンガポール)

Mr. Viengvilay CHANSY      / Mr. Chittakone SYVANVILAY     (ラオス)

Ms. Wai Bunn TANG        / Ms. Nik Norbaizura NIK AZMAN  (マレーシア)

Mr. Hoc NGUYEN TUAN       / Mr. Thong HUYNH NHAT      (ヴェトナム)

Mr. Franco TEVES        / Mr. Rick Jayson SENALES    (フィリピン)

Mr. Ade SUJANA         / Ms. Lita THERESIA      (インドネシア)

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国際交流基金アジアセンターと講道館は、昨年度から3年間、アセアン各国指導者の受入れ、日本からの指導者派遣による技術指導及び講義、教材作成等を通して、交流強化、人材育成、ネットワーク構築の促進を目指す、アセアン全域を対象とした本格的な柔道交流事業「日アセアン JITAーKYOEI PROJECT」を展開している。

国際交流基金アジアセンターHP

http://jfac.jp/culture/dictionary/jita-kyoei/

【青年海外協力隊2018年度3・4次隊 候補生3名】

青木 菜摘 参段(立命館大卒  → 2018年度3次隊、ペルー派遣予定)

坂野 太軌 参段(日本体育大卒 → 2018年度3次隊、ザンビア派遣予定)

田中 嘉朗 参段(京都産業大卒 → 2018年度4次隊、コロンビア派遣予定)

 

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技術補完研修は、JICAボランティア青年海外協力隊の柔道隊員が、任国において正しく講道館柔道を指導できるように、また受入先からの様々な要請に応えることができるように、指導者として必要な幅広い知識と技能を習得させるために行われているものである。

(青年海外協力隊のHPはこちら)

募集要項、応募から合格までの流れ等、詳細が確認出来ます。

http://www.jica.go.jp/volunteer/index.html

・アシスタント

岩永 憲門 参段(講道館道場指導部研修員・青年海外協力隊OB)

・通訳

赤星 亜朱香(青年海外協力隊OG)

 

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・カリキュラムと指導担当

【投技】

〇基本動作(1.5時間)

鮫島 元成 八段(講道館道場指導部長)

〇手技(1.5時間)

南保 徳双 六段(講道館道場指導部)

〇足技(3時間)

眞喜志 慶治 七段(講道館道場指導部)

下山 陽邦 六段(講道館道場指導部)

〇腰技(1.5時間)

眞喜志 慶治 七段

〇真捨身技・横捨身技(1.5時間)

南保 徳双 六段

〇連絡変化(3時間)

眞喜志 慶治 七段

南保 徳双 六段

〇応用(1.5時間)

岩村 衡 七段(講道館指導員 NTT東日本)

【固技】

〇基本動作(1.5時間)

下山 陽邦 六段

〇抑込技(1.5時間)

下山 陽邦 六段

〇絞技(1.5時間)

小室 宏二 六段(早稲田実業高校)

〇応用(3時間)小室 宏二 六段〇関節技(1.5時間)

柏崎 克彦 八段

【形】

〇投の形(4.5時間)

仮屋 力 六段(講道館国際部)

〇固の形(4.5時

間)    

小志田 憲一 七段(講道館企画室兼道場指導部)

〇講道館護身術(4.5時間)

向井 幹博 七段(講道館道場指導部)

〇総括(3時間)

鮫島 元成 八段

【指導法】

〇初心者・安全指導(1.5時間)

鮫島 元成 八段

〇少年指導法(1.5時間)

向井 幹博 七段

〇柔道史概論(1.5時間)

村田 直樹 八段(講道館図書資料部長)

〇試合審判規定(4.5時間)

平野 弘幸 七段(講道館総務部)

小志田 憲一 七段

〇技の構成と名称(4.5時間)

津村 弘三 六段(講道館編輯部)

〇トレーニングの理論と方法(4.5時間)

原田 康弘(株式会社クレーマージャパン)

池田 未里(日本スポーツ振興センター)

〇意見交換・ASEAN柔道の現状と課題(1.5時間)

大辻 広文 六段(講道館国際部)

※青年海外協力隊のみを対象としたもの

〇講道館段位について(3時間)           

山本 三四郎 七段(講道館審議部)

畠山 洋平 五段(講道館審議部)

〇世界柔道の現状と課題(1.5時間)

大辻 広文 六段

〇協力隊活動について(1.5時間)

秋山 日向子 女子四段(講道館道場指導部)

【視察】

〇マルちゃん杯全日本少年柔道大会

〇講道館月次試合

〇嘉納師範ゆかりの地訪問

 

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形成果発表演技会(「投の形」、「固の形」、「講道館護身術」、「柔の形」)

 

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・研修生の感想

「素晴らしい教育に関する知識を与えて頂き、またかけがえのない経験を共有させて頂いたことに感謝します。現在わが国では多くの専門的な柔道コーチを必要としています。私たちは、我が国の柔道普及、発展、また柔道家を増やすために、今回得た知識を広く伝えていくつもりです。」

「講道館の館長、先生方、スタッフの皆様、そして参加者の皆さん、大変お世話になりました。皆さんの柔道に関する知識を共有させて頂いたことに感謝の意を表すと共に、皆さんに神のご加護がありますよう祈ります。さらに柔道の知識を共有するために、私の国に来てくださることを心待ちにしています。」

「日本での1ヵ月間で、柔道だけでなく日本文化など多くのことを学びました。母国に帰国した後は、次のSEAゲーム(東南アジア諸国大会)で生徒たちがたくさんのメダルを取れるように柔道を指導します。」

「私たちは、今回ここで学んだことを生徒に教えるために必ず最善を尽くします。このセミナーがさらに多くの個人や国々に恩恵をもたらし続けることを心から願っています。」

「現在、わが国では柔道が国全体に広がりつつあります。また、柔道は子どもの教育のための最高の活動の1つだと考える人が増えています。私たちは、我々の国で柔道がますます発展し普及するために尽力しますが、併せて講道館のさらなる支援をお願いしたいと思います。」

「道場での実技だけでなく講義や日帰りツアーを通して、講道館柔道と日本の文化を学ぶことができたことは大変有意義でした。この経験や今回ご教授頂いた教えは他では得られないものであり、喜んで国に持ち帰りたいと思います。皆さんの時間と経験を私たちに共有させて頂いたことを心から感謝しています。今回の経験は、私たちをより有能で素晴らしい柔道家かつ指導者にしてくれたと誰もが思ってくれることでしょう。」

「私たち2人が多くを学び、知識を得ることができた今回のセミナーに関して、講道館とアジアセンターの皆様に心から感謝を申し上げます。また、皆さんの歓待に深く感謝し、これからも我が国での柔道の普及と推進を続けていきます。」

「柔道の原点の場所で、多くの知見を与えてくださった全ての先生方、お世話をしてくれた皆さんに感謝します。また、各国からこのセミナーに参加した仲間にも、共に練習できたことや私たちを気にかけてくれたことをありがたく思っています。私は、今回のセミナーで得られた経験や感動を伝えたいと思っています。」

「私たちは柔道についてたくさんのことを学びました、そして帰国後は今回学んだことを自国内で広めて行きます。講道館で柔道を学ぶという私の夢を叶えて頂いたことに、深く感謝します。」

・JICA青年海外協力隊技術補完研修参加者の感想

「柔道に関するあらゆることをまんべんなく教えて頂き、それだけ私自身が学ばなければならないことが多いという自覚をもってセミナーに取り組むことができました。疑問に思っていることを先生方は即座に対応してくださり、自分1人では決して分からないような大きな発見をすることができ、柔道指導における多くの引き出しを用意することができました。選手時代にできなかったこれらの新たな発見を、今後の指導に活かしてゆけたらと思います。アセアンの指導者の方々は、自他共栄を目指す暖かい人間性を持った人たちばかりで、私は今回のセミナーを通して指導法のスキルはもちろんのこと、人間性も共に学ぶことができ、自分自身成長できたのではないかと思います。任地では彼らのように精力善用、自他共栄の心の成長を目指していけるような豊かな人間性を備えた生徒を育んでいきたいと思います。」

「講道館での24日間は本当に夢のような時間でした。終わってしまうのが本当に悲しいくらい充実していて素晴らしい研修でした。アセアンの指導者の方々との合同セミナーでしたので、任地へ行く前の予行練習になりました。24日間を共に過ごした協力隊3名、アセアン各国からの18名の指導者の皆さん、アシスタント、通訳の協力隊の先輩方、講道館の先生方、講道館へ柔道を学びに来ている方々、本当に全ての人が柔道を通して家族になれたように感じています。また、柔道について真剣に考えているたくさんの方々にお会いしてお話しすることができ、現在の柔道に何が足りないのか、何が重要なのか、その中で自分ができることは何なのかを深く考えることができました。任地では壁にぶつかることが多くあると思います。その壁は言葉であるかもしれませんし、文化の違いであるかもしれません。また柔道に対する考え方の違いかもしれませんが、セミナーを通してのたくさんの出会いから教えられたことは、自他共栄の心です。授業を受ければ受けるほど感じた、「柔道って素敵だな、最高だな」とわくわくする気持ちを1人でも多くの人に感じてもらえるように、伝えることができる指導者になりたいと思います。今回学んだこと、出会った人全てが、私にとって本当に宝物になりました。この宝物を任地で柔道を愛するたくさんの柔道家たちに分けていきたいと思います。」

「競技者としての目線と指導者としての目線では違った見方になることを知りました。競技者としてはその技をどうやって自分が使えるようにするかアレンジしていましたが、指導者の目線で研修を受けると、どうしたら伝えやすいかなど工夫が必要でした。自分が理解するのだけでなく相手に伝わらなければいけないので、簡単かつ分かりやすい指導ができるようになり、今回得た技術や知識を、工夫して自分の言葉で表せられるようにしたいと思います。私は英語があまり得意ではないのですが、日々をアセアンの指導者の皆さんと過ごすにつれて、直感で喋り、ボディランゲージを足して、心で伝える方が通じ合えるようになりました。沢山の出会い、経験ができ、24日間とても濃い時間を過ごすことができました。終わるのが寂しくなる研修でした。各国でマナーや宗教、考え方は違いましたが、柔道に関しては皆同じ考えを持つことができるので、そこが柔道の素晴らしさだと感じました。今回の研修で学んだシンプルですがとても大事なことがあります。それは「笑顔」です。辛いときこそ笑顔で頑張ることでその場の雰囲気が良くなりますし、皆で声を掛け合えばとてもいい雰囲気になります。辛いとき、機嫌が悪いときも笑顔を出せる、そんな大きな人間になりたいと思います。」

以上

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