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秋篠宮ご夫妻ザンジバル武道館ご来訪

秋篠宮ご夫妻のタンザニア連合共和国ザンジバル武道館ご来訪について、現地にて柔道を伝える在外指導者島岡強氏の夫人島岡由美子氏よりご報告いただきましたので紹介します。

秋篠宮ご夫妻ご来訪の様子は下記Web Siteよりご覧いただけます。
Zanzibar Judo Association Official Site:  http://zanzijudo.exblog.jp/19974500/

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 平成26(2014)年7月4日タンザニア連合共和国、ザンジバル諸島のサンジバル武道館に秋篠宮ご夫妻がご来訪されましたのでお伝えします。
 7月4日、秋篠宮ご夫妻はザンジバル大統領表敬訪問の後、予定通り午後3時半にザンジバル武道館に到着されました。
 日本側は、在タンザニア日本国大使の岡田真樹氏、啓子夫人はじめ日本大使館と宮内庁の方々が約20名。ザンジバルからは、ザンジバル大統領府の大臣とザンジバル西部地区のトップ、そして、在日本タンザニア大使のシジャオナ氏も来館して、秋篠宮ご夫妻をお迎えしました。
 当日の席順は事前に日本大使館と宮内庁で打ち合わせて決められており、秋篠宮殿下のお隣には島岡強ザンジバル柔道連盟名誉会長、紀子様のお隣には筆者が座り、ご説明やお話をする形で始まりました。
〈秋篠宮ご夫妻ザンジバル武道館ご来訪記念試合〉
 秋篠宮ご夫妻がご着席になられた後、畳に整列していた選手たちは全員正坐、礼をしてからすぐに、秋篠宮ご夫妻ご来訪記念柔道試合として青白に分かれ5対5の団体戦(勝ち抜き)を行いました。 
 まず、島岡名誉会長が秋篠宮ご夫妻に対戦表をお見せしながら、試合の見所を簡単にご説明した後に、記念試合開始。
 秋篠宮殿下は、よくテレビで柔道をご覧になっているとのことで、柔道にお詳しく、「今、上四方固が極まっていますね」など技の名前もよくご存じでした。「先ほどのは場外ですか?」といったルールについてのご質問もあり、島岡名誉会長から、新しい国際ルールについてご説明する場面もありました。試合が終わるたびに、対戦表に勝敗を書き込まれながら、熱心に観ておられました。
 紀子様は、「あまり詳しくはないけれど、柔道を観る機会はあります」とおっしゃられ、技が決まると拍手をされたり、殿下と同じく対戦表に勝敗を書き込まれたりしながら、最後まで楽しそうに観戦されていました。
 また、紀子様が「最近、別の島にも武道館を作られたそうですね」とおっしゃられたので、ペンバ武道館落成式のことをお伝えしました。ザンジバル武道館を建てる前の青空道場時代のこともご存じでした。紀子様は、終始柔らかい表情で話しやすく、気配りと笑顔が印象的な方でした。
 記念試合は、白組の大将マスーディ選手が、一本勝で青組の中堅、副将、大将を破り、大いに会場を沸かせながら3人抜きして白組が勝利するという結果になりました。
 因に、秋篠宮殿下が外国の訪問先で柔道をご覧になられるのは、24年前のマダガスカル訪問以来だそうですが、その際試合は無く、外国で柔道大会を観戦されるのは初めてとのことでとても喜んでいただけました。
 記念試合の後は、アリ・ジュマ氏とアザン・フセイン氏の師弟コンビが投の形を披露しました。「あれは払腰でしたね」など、技の名前をご確認されながら、真剣に見入る秋篠宮殿下、終わってから大きく拍手をしてくださいました。

〈接見〉
 形の披露後、選手たちがステージに上がって接見の時間となり、まずナショナルチームのキャプテンからザンジバル柔道連盟を代表して、ご来訪記念のザンジバルチェスト(アラブ風の彫刻が施された家具)をお渡ししました。島岡名誉会長は、チェストのふたを開けると、秋篠宮ご夫妻歓迎の言葉が彫金されているところや、アラブチェスト独特の秘密の引き出しなどをご説明しました。
 その次に、筆者から紀子様に「アフリカの民話」本を謹呈。紀子様は、ご自身の翻訳で世界の絵本シリーズを出しておられ、その中にはアフリカゾウの話もあります。柔道の観戦の合間に、民話や絵本についての会話もあり、アフリカの民話にも関心をお持ちのご様子だったので、民話本も喜んでいただけて嬉しかったです。
 接見の最後には、秋篠宮殿下からザンジバルの柔道家たちに「今日は、日本から遠く離れたザンジバルで、柔道を観ることができ大変嬉しく思います。これからも、さらに頑張ってください」というお言葉をいただきました。
 そして最後は、始まりの時と同じく選手一同畳に整列し、ナショナルチームキャプテン、モハメッド選手の号令で「気をつけ」「礼」(立礼)をし、秋宮ご夫妻をお見送りしました。

〈ザンジバル選手たちの様子〉
 ザンジバルの選手たちは当初、日本のプリンス、プリンセスをお迎えすることの意味があまり分かっていないようでした。しかし、日本大使館の方々が何度も打ち合わせや下見に来られたり、ザンジバル政府からも大統領府直々の役人や、警護のトップ自らによるザンジバル武道館の下見があったり、接見の際ステージに上がる選手たちの下調べや、参加者全員の名簿の提出があったり、ステージ上のテーブルや椅子、テーブルクロスの清潔さのチェックまであったりする中で、やっと事の大きさが分かってきてだんだん緊張が高まっていったようです。
 そして、本番によい試合をお見せできるようにと、ラマダン(断食月)に入っても休まずに練習に来ていました。また、練習時間とは別に毎日場所を決めて、武道館内外を大掃除をして当日に備えました。
当日は安全のため、事前に名簿を提出した柔道関係者と報道陣と少人数の招待客以外は一切シャットアウトして行われました。秋篠宮ご夫妻ご入場と同時にザンジバル武道館の扉を閉め、誰も入れない状態にするので、絶対に時間に遅れないようにと口を酸っぱくして連日選手たちに伝えていましたが、集合時間に選手全員集まるかどうかが一番心配でした。でも、本番に強いザンジバル柔道の面々、当日は3時半ご到着予定の中、自主的に選手たち全員が1時半には集まって、入退場やステージにあがるリハーサルをして、お迎えに備えていました。(日本なら当たり前の話ですが、時間に遅れるのが常のアフリカでは、ありえない話なのです)
 キャプテンのモハメッド選手も大役を終えてほっとした表情で「今回はさすがに緊張したけど、始まりの時、正坐をして礼をしたら、あとは普段通りの気持ちになれました。最後の礼の際、選手たちに「Kiotsuke!(きをつけ!)」と言ったつもりが、ステージにいる日本人のみなさんまで全員が「きをつけ」の姿勢をしたのでびっくりしました。私たちのザンジバル武道館に、柔道発祥の国である日本のプリンス、プリンセスをお迎えして柔道を観ていただくことができて、大変嬉しかったです。選手たちも全員同じ気持ちでいるでしょう」と言っていました。
 日本から遠く離れたザンジバル(タンザニア)で、島岡強名誉会長が畳も柔道衣もないゼロからのスタートで柔道の種をまきはじめた二十数年前には、これほど長く、深く柔道と関わる人生が展開するとは思ってもいませんでしたので、今更ながら、継続は力なりという言葉を実感しています。
(ザンジバル柔道連盟)
  
註:アマニ・アベイド・カルメザンジバル革命政府大統領。タンザニア連合共和国は、東アフリカ大陸部のタンガニーカとインド洋島嶼部のザンジバルで構成され、ザンジバルはザンジバル革命政府によって統括されている。

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